こんにちは!
認知症サポーターリョウです。
今回は前回の続きで認知症の症状についてです。
認知症の症状に中核症状があり、その中に記憶障害と見当識障害、理解・判断力の障害があることをお話ししました。
今日は実行機能障害からです。
中核症状4-実行機能障害
健康な人は、頭の中で計画を立て、たとえ予想外の出来事が起きても、適切に対処することが出来ます。
認知症になると、計画を立てたり、按配したリすることが出来なくなり、日常生活を首尾よく営めなくなります。
計画を立て、段取りをすることが出来なくなります。
・健康な時であれば・・・
スーパーマーケットで大根を見て、みそ汁を作ろうと思ったら、「冷蔵庫に油揚げがあったから一緒に入れよう」と考えて買い物をします。
実行機能障害が起きると・・・
冷蔵庫の油揚げの存在を忘れているので、大根も油揚げも買ってしまいます。
夕食の準備に取り掛かった時は、買ってきた大根も油揚げも忘れて、冷蔵庫を開けて目に入った別の食材でみそ汁を作ります。
このようなことが繰り返され、油揚げが冷蔵庫にあふれるといったことがになります。
⇒同じ食材が冷蔵庫に溜まりだしたら注意!
保たれている能力を活用する支援をそばで見守り、声をかける人がいれば、料理を作ることが出来ます。
「今日のみそ汁は、大根と油揚げだよね」「炊飯器のスイッチはそろそろ入れた方がいいかな」と言ってくれる人がいれば、食事の準備が出来ます。
ちょっとした支えで、認知症の人には出来ることがたくさんあります。
中核症状5-その他 感情表現の変化など
認知症による記憶障害、見当識障害、理解・判断の障害のため、周囲からの刺激や情報に対して正しい解釈が出来なくなることがあります。
認知症になるとその場の状況が読めなくなったりします。
認知症の人は周囲の人が予測しない、思いがけない感情の反応を示すことがあります。
例)
「そんな馬鹿な!」という言葉を、その場の状況を読めないで、自分が「馬鹿」と言われたと思い、怒り出してしまうことが起こることがあります。
認知症の症状ー行動・心理症状とその支援
記憶障害などの中核症状がもとになり、本人の性格や素質、周囲の環境や人間関係などが影響して出現する症状を「行動・心理症状(BPSD)」と呼びます。
元気がなく、引っ込み思案になることがあります
自信を失い、すべてが面倒に
・周囲が気づく前から、本人は何かおかしいと気づいています。
・これまでテキパキできた料理も手順が悪く、時間がかかるうえに、うまく出来なくなります。
「味が違う」「おいしくない」などと言われ自信を失います。
客には出前を取り、毎日の食事も出来合いのお惣菜ですますようになったりします。
・家の整理整頓や掃除も出来なくなります。
片付けるつもりが散らかって収集がつかなくなり、室内はごちゃごちゃ、大事なものは見つからなくなってしまうことになります。
・意欲や気力が衰退したように見えます。
うつ病とよく間違われます。
周囲からだらしなくなったと思われることもあります。
・すべてが面倒になり、以前は面白かったことでも、興味がわかないという状態が出てきます。
将来の望みを失ってうつ状態になる場合も会あります。
能力の低下を強く自覚し、密かに認知症に関する本で調べたりしている人もいます。自ら認知症を疑って将来に望みをなくし、うつ状態になることがあります。
本人に恥をかかせないよう、自信をなくすような言葉は避け、本人の尊厳を傷つけるようなことがないようにすることが重要です。
・「できることをやってもらう」ことは必要ですが、出来たはずのことが出来なくなるという体験は、本人が自信を無くす結果になって逆効果です。
自分の能力が低下してしまったことを再認識させてしまってはますます自信を失わせます。
⇒それとなく手助けをして成功体験に結び付ける支援が重要です。
身の回りの動作に支障が出てきます
認知症が進行すると、入浴、更衣、排泄、食事など、基本的な生活動作に援助を必要とします。
排泄の失敗を例に
排泄の失敗は、本人にとっても非常にショッキングな出来事です。
失敗の原因は、いろいろあることを理解しておくことが必要です。
トイレの場所がわからなくなります。
場所の見当識障害。初めは夜間だけですが、その後日中でもわからなくなります。
⇒トイレの場所を分かりやすく、風呂場、玄関のたたきなど、トイレと間違いやすい場所のドアを隠す。夜間は、廊下の明かりをつけておく、トイレの明かりをつけドアを開け放しておくといった対応が考えられます。
衣類の着脱に手間取って汚してしまうことが起こります。
脳血管性認知症で運動障害がある場合、アルツハイマー型認知症で更衣が上手く出来なくなっている場合など。
⇒脱ぎ着に時間がかからない衣服で着慣れているものにします。
尿意便意を感じにくくなります。
⇒排尿、排便の周期を観察して、定期的なトイレの誘導で対応できます。
排泄の失敗には前立腺肥大や膀胱炎など、身体の病気が原因のこともあります。本人が痛みなどの異常を感じにくくなるということもあります。周囲の人はこの視点からも気に掛ける必要があります。
今回はここまでです。
介護に負けないでね。
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